おにぎり

おにぎり

写真と文章

思い出の場所2021.04.17

夫が子どもを寝かし付け、ようやく静かな夜の時間。ザッとSNSを流し読む。仕事に集中するまでの、頭の準備体操だ。ガーッとスクロールしていると、複数の呟きが目に飛び込んでくる。世の中がこんな状況にも関わらず、まるでこのパンデミックが起こっていないかのように、日本の外へ出て、挑戦を続ける人たちがいる。

「私は何をしにニューヨークへ行ったのだろう?」帰国してから、もう何十回と問い続けている。もちろん仕事のためだった。私は、もっと上へ行きたかったはずだ。だけど私は、「家庭を作る」ことを選択したのだ。育児をしながらも第一線で活躍している人なんて、世の中に五万といる。子育てに振り回されながらも、あのままアメリカで頑張りたかった。何か、成果を出したかった。でも、留まったからといって、私に何か出来たのだろうか。帰国して早3ヵ月、先のビジョンも見えていないまま、ただただ一日を過ごして、子どもが家にいるからしょうがないと言い訳をし、仕事のスピードも、渡米前の十分の一だ。そんな私に、異国の地で何か出来たのだろうか。ただの無い物ねだりかもしれない。だけど、ハードルが高すぎる地であるからこそ、チャレンジするには持って来いの場所。時間がいくらかかろうと、自分が満足のいくことを何か成し遂げたかった。そして自分自身、変わりたかった。私は帰国してからずっと、たった2年前の想いと思い出に、縛られ続けているのだ。もう二度と住むことはないであろう地であるからこそなおさら、夫と34丁目で待ち合わせをしていたあの頃の光景を、セントラルパークを散歩したあの日を、ピザを頬張りながら笑い合った日々を、愛しく思い出すのだ。

だが明日になればまた、夫と娘の顔を見て、新しい幸せを噛みしめるのだろう。答えが出ないまま、また夜になる。答えを導き出すために考えて考えて、考え続けるのだ。